2010年1月アーカイブ

5月20日(日) 晴天の中、有楽町の東京国際フォーラムにて2009年度第2回赤坂会例会が行われました。今回のテーマは「歯周治療におけるチームアプローチ~ハイジニストとのコミュニケーション~」参加者は全国から約80名が集まりました。

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 会長挨拶の後、まず初めに今年度から発足した歯科衛生士会代表の山口幸子さんより、チームアプローチの重要性を再考する~過去の症例から考えたこと~』という演題で講演をしていただきました。

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氏の今までの経験から、チームアプローチの必要性について詳細な解説をしていただき、特に、補綴物の形態はプロビジョナルレストレーションを用い、歯科医師、歯科技工士と共にメインテナンスの観点から歯科衛生士も確認することの重要性について語っていただきました。

次に黒田歯科医院ご勤務の品田和美さんにより、歯周治療の長期メインテナンス(SPT)の実際』という演題で講演していただきました。

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 氏の長い経験から、最初の説明と理解がその後の患者さんとの関係を大きく左右するとこと、また、歯周治療を開始する時に疾患の原因と原因除去のために、歯科医院側と患者さん側がすべきことを説明し、そして、患者さん自身にメインテナンスやSPTが不可欠であることも理解していただけることの重要性について詳細に語っていただきました。

 また、深い歯周ポケットを残したままにSPTに移行することもあるが、SPTにおける診査は、どのような状態で移行したのか把握したうえで、前回との比較をしていくことが大切で、いわゆる「変化」を察知できる観察眼が必要性について症例を交えながら解説していただきました。

 午後からは会員の発表でしたトップバッターは、寺西歯科医院ご勤務の伊藤桂子さんで、部位によって異なった歯肉の変化に着目した症例』という演題でプレゼンテーションをしていただきました。

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補綴物の形態によって歯肉の反応が変わっていくことを衛生士の視点から色々と語っていただきました。

 

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次に富沢歯科医院ご勤務の吉澤和代さんは院長の富澤直基先生と共に、我が医院を見つめ直す~メインテナンスの質と向上を目指して~』という演題でプレゼンテーションをしていただきました。富沢先生が開業後、色々な苦労をしながら今のシステムを構築していった過程について語っていただきました。どんないい治療をしてもメインテナンスをしなければ長期的な予後は得られないとの言葉に皆賛同していました。

最後によしだ歯科クリニック勤務の横山知美さんは歯周再生療法およびインプラン

ト治療における歯科衛生士の役割』という演題でプレゼンテーションをしていただき

ました。歯周再生法およびインプラント治療における、基本治療、外科処置、メイ

ンテンスの各ステージにおいてどのようなことを考え、臨床を行っているのかを、一

症例を通して解説していただきました。

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 特にインプラト大臼歯部の補綴物形態について活発な

ディスカッションが行われました。

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寺西先生司会の総合ディスカッションでは歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士3者の

密な意見交換が、長期に安定した口腔内を作るということが再認識されました。

 衛生士会発足してから初めての歯科衛生士主体の例会でしたが、大盛況に終わり、演者の方々、参加者の方々に深く感謝いたします。

                                                                    よしだ歯科クリニック  吉田拓志

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5月10日2009年度第1回赤坂会例会が晴天の中、東京国際フォーラムにて開催されました。
IMG_5941.JPGのサムネール画像今回のテーマは、「欠損補綴におけるラボコミュニケーション」でした。
午前の部では、赤坂会を牽引する3名の歯科技工士が歯科医と歯科技工士が最終修復物のゴールに向かう考え方を、それぞれの意見で発表するというこれまでに無い試みで注目を集めました。

 
IMG_5927.JPGのサムネール画像寺西先生および今年度会長に就任された吉田先生より挨拶があり、続いて基調講演としてKLTのDT狩野敦志さんより「欠損補綴におけるラボコミュニケーション」デンタルパロアルトのDT岩淵一文さんより「日常臨床におけるラボコミュニケーションを考察する」
フェイスデンタルアートのDT藤田英宏さんより「歯科医師と歯科技工士のコラボレーション(歯科技工士が必要としている情報)」というそれぞれのテーマで行われました。
IMG_5917.JPGIMG_5919.JPGのサムネール画像のサムネール画像IMG_5953.JPGのサムネール画像プロビジョナルレストレーションの製作法、それを使い歯科医師、患者とのコミュニケーションを図る機能や重要性、実際の口腔内を見ていない技工士が、どうコミュニケーションを取り歯科医師と最終修復物のゴールを目指すか、診断用wax upから難易度の高さを伝え必要なステップのアプローチをすることや、口腔内写真を撮る際の良い例、悪い例など詳しく語っていただきました。
午後の部では、プログラムチェアマンに岩淵一文さん藤田英宏さんを置き、3組のケースプレゼンテーションが行われました。

IMG_5946.JPGIMG_5940.JPGのサムネール画像まず、DR雫田義和DT谷戸弘幸さんによる「はじめてのラボコミュニケーション」でインプラントによって咬合を回復したケースを実際に起きたエラーから両者で原因を追究するという内容で大変参考になりました。
次にDT小平雅彦さんによる「インプラントオーバーデンチャーにおけるラボコミュニケーション(日常臨床において私が思うこと)」で印象への石膏の流し方からレジンの重合法と基礎的なことまで詳しく語っていただき、質疑応答では、義歯の床の設計やコミュニケーションのとりかたなどについて沢山の先生方から熱い意見が交わされました。

IMG_5949.JPG最後にDR新藤有道DT関克哉さんによる「コンプリートデンチャーにおけるラボコミュニケーション(キャラクタライズデンチャーの応用)」で、審美的要求度の高い患者様の要求や想いを技工士にどう伝えるか、また技工操作では、人口歯を患者に合わせ形態修正やステイニングによる色調補正など、要求に応えようとする姿の見える発表でした。
寺西先生司会の総合ディスカッションでは歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の
コミュニケーションが最良のゴールを目指す上で大切な事だと再認識でき、これからの臨床に少しでも活かしていければと思います

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FAITH dental art 伊藤 和明

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2009年 赤坂会 合宿 in 熱海


今年の合宿は昨年よりも厳しく行うという寺西先生のお話が事前にあり、緊張感漂うなか、第1日目が始まりました。畑中浩太先生を皮切りに昼食をはさみ、計7名の先生方が持ち時間25分、ディスカッション20分の計45分で一人ずつ症例発表が行われました。長旅の疲れ、ゴルフの疲れももろともせず、参加者皆、熱い意見交換が行われました。

CASE PRESEN.jpg第1日目の症例発表が終わり、寺西先生を含む全員が温泉につかり症例発表の冷や汗(?)や疲れを洗い流しました。まさに裸の付き合いでここでもお互いの親睦を更に深めることができました。これも合宿の醍醐味といえるでしょう。風呂上がりにはいよいよ宴会へ突入です。参加者全員、趣向を凝らした珠玉の芸の数々で、大いに盛りあがり、最後は「マツケンサンバ」の軽快なリズムに合わせて全員入り乱れての乱舞でお開きとなりました
ENKAI.jpg  会場をホテルの一室に移し、pm10:00から「ミッドナイト・ミーティング/眠らせない夜2009」が始まりました。あらかじめ参加者から募ったお題目について寺西先生にわかりやすく解説していただき、また顎位の質問については実際にデモンストレーションを交えながらの解説で大変勉強になりました。が、お酒がすすむにつれて話題は予想しないところへ飛びましたけれども、それもまた楽しく、有意義なディスカッションが行うことができたと思います。MIDNIGHT.jpgのサムネール画像 
 

2日目は、恒例となった全員参加(寺西先生を除く)の早朝ラジオ体操から始まりました。am.6:00に起床、am.6:30には熱海の浜辺で輪になり、症例発表第2ラウンドに向けテンションを上げていきます。


朝食を済ませam8:45から程よい緊張感のなか症例発表2日目がスタートしました。雫田義和先生を始まりにラストの吉田拓志赤坂会会長まで7人の先生方のよって行われ、前日よりさらに厳しく熱い意見交換が飛び交いました。全ての症例発表が終了し、全員充実感と達成感でいっぱいでした。

その後、昼食と会員の慰労を兼ねて駅前の食堂へと会場を移し、今回の合宿を振り返りつつ海の幸に舌鼓を打ちました。最後に同会場にて表彰式とメダルの授与が寺西先生より行われました。

 
赤坂会合宿の目的に、「若手歯科医師の育成」「個々の臨床のスキルアップ」「プレゼン能力のスキルアップ」というものがあります。このなかでも特に若手歯科医師の躍進には目を見張るものがありました。今回彼らは去年からは確実にレベルアップしており、今後に大いに期待したいところです。決して若手でなくとも、中野先生のように今回みごとに昨年からレベルアップをはたし今回みごとに、ブロンズメダルを手にしました方もいました。合宿の目的は歯科医師としての様々なスキルアップが目的です。すべての会員が何かを掴んでいったことは間違いないでしょう。
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こうして、赤坂会熱海合宿2009は幕を閉じました。合宿を終えた後は不思議な一体感、連帯感が参加者に生まれ、本当に充実した2日間となりました。赤坂会熱海合宿2010へと必ずや受け継がれることでしょう。


赤坂会会員 とし歯科クリニック 三浦利之




症例発表:

畑中浩太先生

「プロビジョナルにて臼歯部ブリッジにオベイドポンテックを作った症例」

小森真樹先生

「上顎前歯部予後不良歯に対してソケットプリザベーションを図り、シングルインプラント埋入を考えた症例」

高木靖雄先生

「中等度から重度歯周病患者に対して、歯周治療とインプラントを施した症例」

三浦利之先生 ~金賞受賞~

「上下総義歯にて咬合と審美性を回復したケース~ブランチングテクニックを使って~」

坂本貞樹先生

「顎位を変えずに審美的、機能的に修復した症例」

中野文明先生 ~銅賞受賞~

「上顎前歯審美障害と臼歯部欠損を歯冠補綴とRPDで改善した症例」

川崎宏一郎先生 ~銀賞受賞~

「先天性多数歯欠損歯列に矯正治療およびインプラントを用い機能回復した1症例」

森山広之先生

「キャストパーシャルデンチャーにて咬合を回復した症例」

藤田大樹先生・野寺義典先生

「上顎の歯列弓狭窄による叢生症例を矯正治療&補綴治療で対処した症例」

雫田義和先生

「インプラントを用いた咬合再構成」

佐藤博宣先生

「New Twin Tube System を利用したインプラント咬合再構成の1例」

虻江勝先生

RPDとインプラントを用いて咬合回復を図った症例」

高田貴虎先生

「重度歯周炎患者にオーバーデンチャーとインプラントを用いて咬合回復を図った症例」

新藤有道先生

「上顎前歯部並列インプラントにNew Twin Tube Systemを応用した症例」

吉田拓志先生

「上顎犬歯部に上皮下結合組織移植術による根面被覆を行った1症例」

 

 

第2回赤坂会合宿  実行委員長 森山広之  副実行委員長 高田貴虎

赤坂会幹部合宿担当 藤田大樹 

  
 
 

 






2009年 赤坂会 特別講演会(忘年講演会)を終えて


12月13日東京国際フォーラムにて特別講演会および忘年会が行われました。今年度も70名以上の参加者が集まり盛大に行われました。

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特別講演会として前半では寺西邦彦先生より「peri-implantitisを再考する」といったテーマにてご講演頂きました。近年の歯科会におけるインプラント治療の普及により多くの患者さんが恩恵を受けると共に、そのメインテナンスの重要性やインプラント周囲炎に対する対応が重要視されるようになってきていることも事実です。

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私を含め、まだインプラント治療を行って長期に渡って経過を追っていない若手~中堅の歯科医が多い赤坂会ですが、既にインプラントが口腔内に存在し、さらにはインプラント周囲炎に罹患している新患患者さんに遭遇する機会が少なくないことも事実となっております。そのようななかperi-implantitisに関しての講演を聴く機会は非常に貴重な経験となりました。講演内容として、まずperi-implantitisの発症機構に関する解説がありました。寺西先生ご自身の症例から咬合に起因するimplant lossの場合は骨吸収がfixtureの先端まで一気に進むが、一方でプラークに起因したperi-implantitisは上部構造側に骨吸収が限局するといったご考察をなされていました。また、メインテナンスを考慮した上部構造の形態についてのご考察があり、審美性を追求するあまりインプラント周囲粘膜下のカントァーを大きくとりすぎることで縁下のメインテナンスがとりにくくなってしまうことを我々若手~中堅歯科医やテクニシャンに警告して頂きました。ご講演の最後には、インプラント周囲炎に対する外科的対応方法について、グリシンパウダーを用いたエアーフローでの使用例を挙げて頂き、後半の竹内先生のご講演へと続きました。

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  後半では、竹内泰子先生に「歯周治療、インプラント治療のメインテナンスにおけるエアーフローの有用性」といった演題にてご講演頂きました。会場には竹内先生とともにスカンジナビアの歯周治療を30年以上に渡って日本に紹介して頂いた岡本浩先生もご同席されました。寺西先生のご講演でも提示して頂いたように、エアーフローはインプラント周囲炎の外科的対応時にフィクスチャーのバイオフィルム除去法として注目されているものですが、ヨーロッパでは既に歯周治療での応用が行われておりその最新の知見についてご講演頂きました。講演内容は、まず、キュレットを用いた歯根表面のデブライドメント時に起こるオーバーインスツルメントは後に根面カリエスの発症という重篤な結果を招く危険性について基礎的データや症例を挙げて説明頂きました。そして、以前よりスカンジナビアではこれを危惧し超音波スケーラーを頻用していたようですが、今回はそれをさらに突き詰めた形で、根面のバイオフィルム除去にグリシンパウダーを用いたエアーフローが有効であるといった内容を、基礎データから症例まで提示していただきました。私自身、歯根面のインスツルメントとしてキュレットと超音波スケーラーによる方法は完全に確立したものとして考えていたので衝撃的でした。講演は、とても熱のこもった丁寧なもので、予定の質疑応答の時間もなく懇親会へと向かうこととなりました。

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 さて懇親会ですが、毎年恒例のビンゴ大会は例年にも増して景品が豪華で品数も多く大盛況でした。

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また、Awardの発表ではTerry's awardにDT関さん、Akasaka awardにDR森山先生、新人賞にDH伊東さんと、今年度のスローガン「Total Balance」を象徴する結果となりました。


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 さて、今回寺西先生と竹内先生お二人のご講演を聴講し、お二人に共通した歯科医師としてのある姿勢に気が付き、感銘を受けました。それは、ご自身の症例を振り返り、実際に起こってきた問題に対して真っ向から立ち向かいそれを解決に導こうといった姿勢です。むしろ、お二人の先生の臨床で問題の起きているケース自体多くないにもかかわらずです。このような姿勢で日々の臨床を行っている結果、お二人のような臨床家になれるのだと確信いたしました。明日からの臨床に生かしてゆこうと思います。

エド日本橋歯科勤務 高田貴虎