
今回は「包括的歯科診療を再考する」と題して基調講演を殿塚量平先生にして頂き、午後からは赤坂会の合宿で発表されたケースを中心に東北の先生にも発表して頂きました。
まず赤坂会会長の野寺先生からの挨拶のあと、赤坂会顧問の寺西先生から殿塚先生の紹介が行われました。
その後プログラムチェアマンの佐藤先生から趣旨説明がありました。
早速殿塚先生に「天然歯の保存と新たな挑戦」と題して発表して頂きました。

最初の症例では、先天性欠損の人に矯正を行う症例で、便宜抜歯した歯牙を先天性欠損の部位に移植を行いました。移植歯が根未完成の為、生活歯のまま移植ができたそうです。
普段の赤坂会では、あまり見ない症例ですか、素晴らしいと思いました。
また全顎治療の時はなるべく、顎関節をMRI撮影して関節円板の変位を確認しているそうです。
顎関節症群の人とコントロール群の人に対して、それぞれ閉口時開口時の関節円板の変位の状態の分類など、興味深いデータを見せて頂きました。
昼休みをはさんで午後からは加部先生の発表が行われました。
赤坂会の合宿で発表されたケースです。

歯周外科も行い、中にはエムドゲインを使用して垂直性骨吸収の部位に再生手術されている部位もありました。
加部先生自身患者さんの喫煙をやめられない事に悩んでいて、歯周外科の後、歯肉弁を裂開してしまい、後々インプラントを埋入予定だった部位を中止してしまいました。
吉田先生、殿塚先生、寺西先生から歯周外科の目的、手技、インプラント埋入の基準など指摘アドバイスがありました。
特に寺西先生からは、歯周外科後裂開してインプラントを中止した事は慎重になり過ぎた。バーティカルストップの事を考えてインプラントを埋入すべきとのアドバイスがありました。

歯冠崩壊をともなう多数歯のカリエスがある方に、前歯部は矯正をした後、補綴を行い審美性の改善に取り組んだ症例です。
前歯部は歯冠部が大きく崩壊していていましたが、プロビジョナルの形態を歯軸の方向に合わせて、もともとあった歯冠の形態を予想してラボで作り直しDBSを行い歯軸の修正を行う矯正を行っていました。
外科処置、矯正、ファイナル印象のタイミングなどディスカッションされました。
寺西先生からは、初診時に多数歯カリエスのある場合は、露髄を防ぐために、なるべく早い段階で緊急処置としてカリエスコントロールをするよう聴講者にお話ししていました。

上顎前歯部の審美症例で、#12にパーフォレーションがあり、その部位にエクストルージョンを行った症例です。
その#12のフェルールエフェクトは充分であるのか、またシンメトリーになるまで、#22を歯肉切除する必要があるのかなど、ディスカッションされました。
またファイナルレストレーションでは、ハーフポンティックの形態にしていましたが、DT関さんからは、プロビジョナルレストレーションの歯肉のほうが自然でファイナルのハーフポンティックの歯肉はきゅうくつに見えるという指摘がありました。
プロビジョナルでブラックトライアングルもない状態でハーフポンティックの必要はなかったのではないかという意見が多く出されたような気がします。

下顎は歯周病などによって#35、#31~#44まで欠損のある下顎前方遊離端、上顎は両側後方遊離端のRPDの症例です。
本人からは、取り込み印象の時にFCKが浮き上がったのではないか、と臨床上の苦労した事を話して頂きました。
飯沼先生からは、仮着材を使うなどのアドバイスがありました。
また下顎のRPDは、維持装置が多くて着脱するのが、高齢の方には難しいのではないかとの、指摘がありました。
今後小臼歯部にフレミタスが出てきた時、どの対応についてディスカッションされました。
Key and key wayが必要がどうかについても、議論されました。
寺西先生は、メールとフィメールをタイト強固に作り遊びの無いものを作るべきである、しかし20年ぐらいたつと、ゆるくなるそうです。
最後に寺西先生から、一つ一つのケースをしっかり治療を行い、データを取っていれば後で皆とティスカッションができ勉強する事ができるとのお話をいただきました。
普段は聞けないような、実際の臨床の内容について沢山の方と議論され、非常に有意義な例会だったのではないかと思います。
高木靖雄

講演の中で印象に残ったのは歯周治療のフローチャートのところでコンサルテーション、モチベーションが肝心要でここをしっかりしておくとその先がうまくいくとお話をされたことです。どうしても治療ゴールに気持ちは向きがちですが、その手前に成功のカギはあるのだと再考させられました。患者さんとのコミュニケーションが日常の臨床を支えていることを忘れないでいたいものです。
また、口蓋裂の患者さんの永久歯の先天欠如に対する矯正治療、自家歯牙移植の症例は目を見張るものがありました。殿塚先生の正確な診査診断と卓越した臨床技術によって整えられた咬合を得られた患者さんは、今後、口蓋裂で困難な治療を受けなければならない患者さんたちの指針になるに違いないと思いました。
田中歯科医院
歯科衛生士 下川喜美枝
歯科衛生士 下川喜美枝








