
9月8日(日)、有楽町の東京国際フォーラムにて2013年度第2回赤坂会例会が行われました。
今回のテーマは「日常臨床におけるハイジニストの役割」
あいにくの空模様でしたが全国から約90名集まりました。
会長である野寺先生の挨拶後、プログラムチェアマンである山口幸子さんから会の趣旨説明、特に日常臨床においての歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士のコミュニケーションを重視する会のスタンスについてお話がありました。

その後、鈴木朋湖さんより「日常臨床における歯科衛生士の役割」という演題で基調講演が行われました。
鈴木さんは長らく東大阪本多歯科医院で勤務され、その後フリーでご活躍されている衛生士さんでいらっしゃいます。その豊富な経験から、講演内容は診査診断や各治療のステップ、インスツルメント、歯牙や骨、歯肉の解剖学的特徴やアプローチの難易度等々多岐に渡るものでありました。特に治療後の状態をいかに継続させるかという"守る"ステージの大切さを終始強調されており、患者がいかに清掃しやすいかを常に考えているという言葉に熱が込められていました。昼食をはさみ午後も引き続き鈴木さんの講演が行われ、インプラントに対する洗口剤やフッ化物の応用等各論にも触れられ、私自身初めて聞く話も多く大変勉強になりました。その後質疑応答では会場の衛生士さんから日常臨床で困っているケースでの清掃用具の相談等がなされ、どの質問にも鈴木さん自身の経験をふまえ1つ1つに丁寧にお答えになっている姿が印象的でした。

続いて会員発表が行われました。今回は3名の衛生士さんが発表されました。
トップバッターはエド歯科医院勤務の瀬端亜梨紗さんで「歯科衛生士の役割」という演題で発表されました。本ケースは上下前歯部に唇側傾斜と全顎的に水平的骨吸収があり、患者のモチベーションとプラークコントロールが治療後の経過を左右するとのことでした。初期治療時や歯周外科後のインスツルメントの変更や部分的に苦労されたことなど時系列に沿って大変わかりやすく発表されていました。またメインテナンス時のモチベーションの維持が難しいとのことで今後の課題として挙げていました。発表後の質疑応答では会場から舌の大きさや舌癖についての指摘があり、そのような癖や解剖学的特徴に気づくことも衛生士だからこそ出来ることの一つであるとのお話で締められていました。

次に、田中歯科医院勤務の下川喜美枝さんが「医療面接の重要性を改めて認識した一症例」と題し発表されました。本ケースは他院にて全顎的な治療が行われたケースであり、メインテナンス時の患者さんとのコミュニケーションを通して種々の問題を検討し改善していったとのことでした。まず他院での治療とのことで前医との連携の点での苦労や、術者が当然と思い説明を細かくしない点でも患者さんは勘違いをしていたり、必要なことではないと自己判断してしまうことも多く、臨床においての会話の中で察知し細かく修正を繰り返さなくてはならないということを強調されていました。

また清掃器具の種類や順番等も前医との相違が少なからずあり、会話を通じて少しずつすり合わせていってとのことで苦労がうかがえました。発表後の質疑応答では顧問の寺西先生より、R.P.D.やスプリントなどの患者自身の意図で装着しなくて済んでしまうものほど行き違いが出てしまうため、術者がわかりやすく説明し、なおかつ強調していかなければ患者には伝わらない、との旨をご自身の経験やたとえ話を用いてまとめられ、最後の発表に移りました。

最後は内田歯科医院勤務の鈴木温子さんが「咬合性外傷を伴う広汎型慢性歯周炎患者に対する包括的治療の1症例」と題し発表されました。エンド・ぺリオや歯周外科、矯正も絡む複雑なケースでしたが、初期治療からファイナルに至るまで時系列に沿って丁寧にまとめられていました。初期治療から再評価を経て歯周外科に移行する際、オペのアシストを行うことでご自身の取り除けなかった歯石を確認することが出来良い経験になったとのことで、解剖学的制約がある中でどのようなインスツルメントを用いればより良く縁下歯石が除去できるかなど、会場からも多く意見が寄せられていました。発表後のディスカッションでは今後起こりうることに対するアドバイスやエンド・ぺリオの診断についての質問、また再生療法を伴う歯周外科と矯正のタイミング、残存歯の予知性についての白熱した議論がなされ、熱を帯びたまま会は盛況に終わりました。

今回、4名の講演、発表を通して、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士との密な連携が口腔内の健康維持に必要不可欠であると再認識すると同時に皆さんの臨床に向かう真摯な姿から、明日からの臨床へのモチベーションを高められる大変有意義な会だったと感じました。
根間 大地