
2月8日(日)、有楽町の国際フォーラムにて2014年度赤坂会第3回例会が行われました。今回は「成人矯正を再考する~治療期間短縮への挑戦~」と題し、殿塚量平先生、渋澤龍之先生による基調講演、伝法昌広先生による特別講演、野寺義典先生、佐藤博宣先生による会員発表が行われました。あいにくの空模様でしたが、会場には多くの参加があり、皆が今年のテーマである「WAKU WAKU」した気持ちのなか会が始まりました。
まず現赤坂会会長であり、今回のプログラムチェアマンである野寺先生より、挨拶と主旨説明が行われました。矯正がテーマである例会としては5回目にあたり、今までの変遷とまとめが述べられたのち現状の課題について触れられました。治療期間が長期に及んだご自身のケースを提示していただき何に時間がかかったのかをみていくと、レべリングやリトラクションはほとんどのケースでスムーズに治療がすすんでおり、咬合を仕上げる段階でかなりの時間がかかってしまっていることに気付かされました。移動量としては微々たるもので治療開始から何百日目と記入された多数の写真を見るにつけ、こだわればこだわるほど時間がかかってしまうという矯正医側のジレンマも感じることができました。

午前中は殿塚量平先生と渋澤龍之先生の基調講演から始まりました。殿塚先生は2012年度の第三回例会でも発表してくださっており、今回は一緒に仕事をしておられる渋澤先生を交えて「成人矯正を再考する」と題し発表されました。殿塚先生、渋澤先生コンビでの講演は私自身名古屋で拝聴する機会があったのですが、そのクオリティの高さに改めて驚かされました。歯周病専門医であり補綴医である殿塚先生と矯正専門医である渋澤先生が顎関節やオクルージョンなどの共通言語を大切にしつつ、時には殴りあいに近いくらいの熱いディスカッションのもと高いゴールに到達されていました。特にコルチコトミーやTADsの併用は治療期間の短縮やより良いゴールのためには必要になってくると思われ、今後はそのタイミングや術式についても理解を深めていく必要性を感じました。
昼食をはさみ午後は伝法昌広先生による特別講演に移りました。伝法先生のお話を聞く機会は初めてでしたが、SJCDの土屋先生のクリニックで矯正治療を担当されていただけあって、その理論やテクニックはとてもハイレベルに感じました。今回は「Gummy smile correction」と題し、ガミースマイルに焦点を当てていただき、その原因による分類、上顎前歯の三次元的な診断、治療目標の設定、計画の立案について講義をしていただき、実際のケースも提示していただきました。最後に提示していただいた土屋先生とのケースは、綿密な診断に基づき治療がなされており、細かい個々の歯の捻転も改善されたのち、最小限の範囲での歯牙の切削で最大限の審美性が達成されていました。

コーヒーブレイクをはさみ会員発表に移りました。野寺先生、佐藤先生により「包括的に咬合再構成したⅡ級ハイアングルケース」と題し発表されました。本ケースは治療途中にTerra小屋にて症例相談されたもので、治療期間5年余りを経てファイナルを迎え今回発表する機会を得たとのことでした。野寺先生の説明ではⅡ級ハイアングルケースは矯正治療の中でも最も難しい部類のひとつであるとありましたが、治療方針一つとっても会場の矯正医と意見が真っ二つに割れたのが印象的でした。特に咬合高径を巡って大臼歯の圧下の是非が一番盛り上がりました。現状の咬合高径を高いとし積極的に圧化した上で治療を進めるのか、既存の高径を尊重しその中で治療をすすめていくのか、その答えは症例に向き合い長期的な経過を観察することでヒントがみえてくるのではないかと感じました。
今回の例会ではコルチコトミーやTADsの併用など治療期間を短縮し、より良いゴールを迎えるためのオプションを多数拝見することができました。しかしやはり一番大切なのはベーシックデータに基づく診査・診断・治療計画であり、症例の長期経過を追うことが日々の臨床につながってくることを改めて感じた例会になりました。
よしだ歯科クリニック勤務 小森 真樹(こもり まさき)




