例会

11月26日に東京国際フォーラムにて、スタディーグループ赤坂会忘年特別講演会が開催されました。今回の基調講演は5-D Japanファウンダーの船登彰芳先生にお越しいただき、『なぎさ歯科クリニックの軌跡-歯周・インプラントに特化した医院として』という題でご講演していただきました。 講演は歯周治療、インプラント治療だけでなく、包括的に行った症例まで論文などのエビデンスも混ぜながら多数見させていただき、非常に勉強になりました。 また船登先生の過去から現在に至るまでの臨床に対する考え方の変化はとても考えさせられるもので、私のような若手にとって非常にためになるお話だったと思います。 特に印象に残っているのは天然歯をできる限り保存し削りたくないと現在は考えているということでした。しかし、削らなければならないときは削るし、抜かなければいかないときは抜くとはっきりとおっしゃっていました。そこには、赤坂会も大切にしている診査、診断があると思います。ただ、私のような若手にとってはまだまだその見極めが難しく、日々診査診断を行いながら悩んでおりますが、今後自信をもって診断できるよう引き続き頑張っていきたいと思いました。

赤坂会からの会員発表は今年のテーマであった伝承の締めにふさわしく、赤坂会を代表とする先生方の中から吉田拓志先生の『臼歯部咬合崩壊を伴った慢性歯周炎患者に包括的な治療を行った一症例』、新藤有道先生の『Root submergence technique を応用した症例』、飯沼学先生の『インプラントをパーシャルデンチャーの支台歯として用いて機能回復を試みた症例』の発表でした。 どの症例もそれぞれの先生の特徴がある発表で若手にとって非常に勉強になりました。しかし、ディスカッションの時間がほとんどなかったので、ディスカッションの活発な赤坂会の先生方にとっては少し不完全燃焼だったのかもしれませんが、有意義な時間となりました。

懇親会は会場を変え東京TOKIAビルのP.C.M.にて行われました。他のスタディーグループの先生方にもお越しいただき、そして毎年恒例の抽選でも数多くの景品が協賛企業から提供されました。余興は加部先生、根間先生、田中先生、得居先生による体を張った派手なダンスショーで非常に盛り上がりました。 また、今年のアワードは
Terry's award Dr.川崎宏一郎でした。
Akasaka award Dt.伊藤和明 
新人賞 Dr.吉武秀
おめでとうございます。

内田歯科医院 吉武 秀

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 9月3日(日)、快晴の中全国から多くの方々が集まり、東京国際フォーラムにて2017年度赤坂会第2回例会が行われました。

今回は「無歯顎祭り」というテーマで発表が行われました。 基調講演は松丸悠一先生、藤野修先生、遠藤義樹先生にご講演して頂きました。3人の先生方が共通して話されていたことが、患者さんに痛みや気になっている事をしっかりと聞き患者さんと義歯を作り上げていくという事でした。ドクター、患者さんのバランスがとる事が大事であり決してどちらかに偏ってはいけないと感じました。

午後は2名の先生が会員発表されました。 吉田拓志先生、飯沼学先生と寺西先生から受け継いだ無歯顎補綴の手法を事細かに披露して頂き、基本的な所からお話して下さり若手の自分にとっても非常に勉強になりました。

また質疑応答の時には、ベテランの先生方が過去の失敗例を話して頂き気を付けなくてはいけない事、なぜ失敗が起きたのかを分析し話して頂きました。そのような貴重な話が聞けた事が非常にありがたく勉強になりました。 今回の例会内容を今後に活かせるようしっかりと復習し、日々の臨床に臨んでいきたいと思います。

岩本町デンタルクリニック

得居信彦

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 今年のテーマである伝承。 日々諸先輩の先生方には日頃より診査診断、治療計画等事細かいとこまで伝承して頂いておりますが、今回の寺西先生の講演ではラボサイドとよりよい治療、なによりゴールに向けて同じ志を持ち、そこまでに辿り着く過程を事細かく講演して頂きました。

その中で20年という年月で口腔内が維持安定し、トラブルがないケースを拝見させて頂きましたが、日頃の細かい事への積み重ねが何十年維持安定するという事を改めて勉強させて頂きました。

そういう事への繰り返しがラボサイドとの信頼にも繋がっていくのではないでしょうか。 また熟練した技工士さんから学ぶ事は、他では学ぶことの出来ない事だということも改めて感じました。

そしてそれ以上に私達歯科医師も患者さんの為、日々勉強し、歯科医師のみならず多くの方から学ばせて頂けるという姿勢を忘れてはいけないと感じた講演でした。

全 嶺一

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11891212_739407782855806_6201875536790007812_n.jpgのサムネール画像9月6日(日)、快晴の中全国から多くの人が集まり、東京国際フォーラムにて2015年度赤坂会第2回例会が行われました。

今回は、「デジタルデンティストリーVSアナログデンティストリー(ラボコミュニケーション)」というテーマで発表が行われました。

特別講演は、顧問の寺西先生による、「Digital Dentistry 現状と将来」というテーマでの御講演でした。

先生の長年の経験をふまえ、アバットメントのCASTとCAD/CAMの比較、そしてCAD/CAMアバットメントの適合に関する各社製品の説明をアバットメントの構造と共ににわかりやすく説明していただきました。

特に私が関心を抱いた点は、たくさん出てきている似たようなアバットメントミリングシステムでもインプラント体との互換性の点でアバットメントが外れなくなるトラブルがあることです。

そのため、アバットメントとインプラント体各部の目的の理解が大切だと思いました。

他にも、新たなインプラントシステムであるEVインプラントも話にあがり、知識のアップデートも行うことができ良かったです。

12002764_739407702855814_7990602314689501677_n.jpg続いて、小池軍平先生より「光学印象の現在」というテーマでの御講演でした。

現状の光学印象の精度と正確度についてアナログのシリコン印象や寒天アルジネート印象や各社光学印象システムについての比較、光学印象の限界を説明していただきました。

精度と正確度の基本的なことからお話をしていただき、実際の光学印象のレベルが私でも理解しやすく勉強になりました。

研究発表として榊原亨先生より『対合歯の磨耗にセラミックス系材料の表面性状が与える影響について」というテーマでの御講演でした。

臨床と研究の両立、実際の研究結果、について発表されており、ジルコニアクラウンやPFMクラウン使用後の変化についての理解を深めることができました。

セラミックの口腔内での変化を理解できたことで、フルジルコニアクラウンの選択において今後の参考にしようと思います。

会員発表一つ目は、榊原塁先生による『アトランティスシステムによるデジタルソリューション。

インプラントを用いた、咬合再構成』というテーマでの御講演でした。

11988716_739407936189124_5474952062207695016_n.jpgケースは、インプラントを下顎前歯部、両側臼歯部に用いて咬合再構成を行ったケースでした。

会場からは、午前中に特別講演で話題に上がったシステムだったため、オーダーの流れに関する質問がみられ、オーダーシステムの注意点に関する内容のディスカッションが行われました。

まだ、オーダー経験のない私もオーダーしてみないとわからないことを疑似体験できました。

そして、症例については、下顎菅による埋入ポジションの規制がある症例で、インプラントの埋入するための前処置や補綴物での対応を考えられていて、様々なオプションを知っておくことの大切さを学びました。

続いて、安藤歯科医院の安藤先生の発表に移りました。

「日常臨床におけるDigital Dentistryの活用」というテーマでの御講演でした。

CTによる診査、CTを用いてCAD/CAMで作成したガイドステント、技工操作にCAD/CAM、スマイルデザインを活用した前歯部Br臼歯部のインプラントのケースでした。

デジタルシステムのマッチングにより歯肉の状態、口腔外の評価もできるため治療内容について患者さんと具体的に話をしやすく、また話した内容をプロビジョナルレストレーションに移行できるためその後の微調整をするうえでスムーズに処置が行えると思いました。

12003182_739408172855767_8136894329322444828_n.jpg最後は、ウィステリアデンタルクリニックの佐藤博宣先生による「ハイアングルの歯周補綴症例』というテーマでの御講演でした。

ハイアングル、歯周補綴と非常に難しいケースではありましたが、技工士さんとのラボコミニケーションにより最終補綴物が作られたケースでした。

複雑なケースのため、治療のゴールが正確に定めることが難しく、デジタルで行ってしまうと口腔内と調和した補綴物にすることは非常に難しいと感じました。

この症例では、デジタルのデータの蓄積と匠と呼ばれる技工士さんの経験は、全く異なる物で両者の選択を的確に行うことで患者さんにとって一番良いものができると学びました。

また、会場では、初期治療が矯正に対して影響を与えることなどディスカッションされており、基本である炎症のコントロールの大切さを再確認しました。

日々の臨床だけでは学ぶことができない機器の進歩、技工士さんの細かなバランスを学べ、明日の臨床に活かしていこうと思います。

岩本町デンタルクリニック 足立 亘

11117673_976579869040943_1545861342_n.jpg5月17日(日)、東京国際フォーラムにて2015年度赤坂会第1回例会が行われました。

今回のテーマは「補綴前処置としてのペリオドンタルティッシュマネージメント」

高田新会長の初陣にふさわしい快晴の中、全国から90名以上の方々が集まりました。

11118087_976579802374283_1088135511_n.jpgまず、高田新会長の会長決意表明も兼ねたプレゼンテーションから始まりました。今後の赤坂会のテーマとして掲げられた 1)Casting 2)Science 3)Globalizationの必要性や本年度のスローガンである「吠えろ」のご説明の後、今回の例会テーマである「補綴前処置としてのペリオドンタルティッシュマネージメント」について参考症例を交えながら趣旨説明をしていただきました。その後顧問の寺西先生よりご挨拶があり、基調講演へと移っていきました。

11119512_976579772374286_1406994985_n.jpg基調講演は長らくJIADSで講師をお勤めの宮前守寛先生で、例会テーマと同じく「補綴前処置としてのペリオドンタルティッシュマネージメント」という演題での講演でした。抑えるべきベーシックな所からアドバンスな内容までご自身の症例を交えながら非常に解りやすくかつ示唆に富んだ素晴らしいご講演でした。最終修復物を審美的に仕上げるためには歯周疾患や縁下カリエス、歯牙の位置異常等の問題を解決し清掃性に優れた安定性の高い歯周組織を構築する必要があります。そのための診断の一助となる様々な分類(歯肉、骨、歯間距離等)や診断結果から導き出される適切な術式(切除療法、再生療法、矯正治療等)の選択をご自身の症例や文献を通して理路整然とまとめておられて、講演中どんどん頭の中が整理されていく爽快感が絶えませんでした。やはり結果を残される先生ほど、基本を忠実に守り、理論に基づいた診査診断や術式の選択を確実に行っていることを改めて認識し背筋の伸びる思いでした。後半はインプラント周囲組織への角化歯肉の必要性についての具体的な講義もあり、こちらも改めてインプラント周囲組織への配慮も学ばせて頂きました。ご講演後、会場から質問やそれに基づくディスカッションも行われ、熱を帯びたまま午前は終了となりました。

お昼休憩をはさみ午後は3名の会員発表へと移っていきました。

11117940_976579805707616_1744072260_n.jpgトップバッターは高田新会長自ら「結合組織移植による根面被覆を行ったフルマウスリコンストラクションケース」との演題で発表されました。元々の不良修復物が多く、天然歯もリセッションを伴い全額的な治療が必要な難しいケースでしたが、一つ一つの診査や術式を丁寧にまとめられ、ファイナルも非常にきれいでした。ご自身の経験を基に根面被覆の際の留意した点やインプラント周囲組織への考察についても大変勉強になりました。会場からも根面被覆後のプロビジョナルへの移行時期やマージンの設定について等テーマに即した質問も飛び交いました。

11125971_976579829040947_924305364_n.jpg続いて、内田歯科医院勤務の加部先生の発表に移りました。演題は「デンチャースペース確保のためのクラウンレングスを行ったオーバーデンチャーの症例」。本ケースは私自身、若手合宿、福岡ジョイントと合わせて3回目の拝聴となりましたが今回はデンチャースペースの確保のために行った歯周外科にフォーカスを絞ったプレゼンテーションでした。最終補綴物の破折のリスクを軽減するための適正な厚みの確保やそこから逆算して歯牙や骨の削除量を求めてオペに当たる必要性などご自身の反省や考察も含めた発表でした。ディスカッションでは治療計画について他に選択肢がなかったのか、上下歯列の位置関係の考察について等診査診断にこだわる赤坂会らしい議論におのずと発展していきました。

11169022_976579852374278_1198534157_n.jpg最後は、愛知県にてご開業の田ケ原先生による発表で演題は「矯正治療と歯肉粘膜処置を行ったインプラント症例の経過報告」。初診が15年以上前のフルマウスリコンストラクションのケースで治療中や治療後の経過についても時系列に沿ってご発表頂きました。

治療が大掛かりになればなるほど、思いもよらぬことも起こりうると思いますが、その都度考察とフォローアップをされておりケースの壮大さを感じました。また時代と共に治療オプションが増えるため、治療当初は選択肢になかったことにも対応出来るよう知識のアップデートを怠らない姿勢が大切であると改めて学ばせて頂きました。ディスカッションでは抜歯基準や外科術式についての質問から矯正や顎関節の状態などを含めた診断について議論が尽きず、熱を帯びたまま閉会となりました。

今回改めて、永続性の高い補綴治療に際し診査診断の大切さとそれに伴う治療術式の選択、また治療を遂行できるスキルの必要性等、研鑽の積み重ねの大切さを痛感する大変有意義な一日となりました。

根間 大地

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2月8日(日)、有楽町の国際フォーラムにて2014年度赤坂会第3回例会が行われました。今回は「成人矯正を再考する~治療期間短縮への挑戦~」と題し、殿塚量平先生、渋澤龍之先生による基調講演、伝法昌広先生による特別講演、野寺義典先生、佐藤博宣先生による会員発表が行われました。あいにくの空模様でしたが、会場には多くの参加があり、皆が今年のテーマである「WAKU WAKU」した気持ちのなか会が始まりました。

まず現赤坂会会長であり、今回のプログラムチェアマンである野寺先生より、挨拶と主旨説明が行われました。矯正がテーマである例会としては5回目にあたり、今までの変遷とまとめが述べられたのち現状の課題について触れられました。治療期間が長期に及んだご自身のケースを提示していただき何に時間がかかったのかをみていくと、レべリングやリトラクションはほとんどのケースでスムーズに治療がすすんでおり、咬合を仕上げる段階でかなりの時間がかかってしまっていることに気付かされました。移動量としては微々たるもので治療開始から何百日目と記入された多数の写真を見るにつけ、こだわればこだわるほど時間がかかってしまうという矯正医側のジレンマも感じることができました。

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午前中は殿塚量平先生と渋澤龍之先生の基調講演から始まりました。殿塚先生は2012年度の第三回例会でも発表してくださっており、今回は一緒に仕事をしておられる渋澤先生を交えて「成人矯正を再考する」と題し発表されました。殿塚先生、渋澤先生コンビでの講演は私自身名古屋で拝聴する機会があったのですが、そのクオリティの高さに改めて驚かされました。歯周病専門医であり補綴医である殿塚先生と矯正専門医である渋澤先生が顎関節やオクルージョンなどの共通言語を大切にしつつ、時には殴りあいに近いくらいの熱いディスカッションのもと高いゴールに到達されていました。特にコルチコトミーやTADsの併用は治療期間の短縮やより良いゴールのためには必要になってくると思われ、今後はそのタイミングや術式についても理解を深めていく必要性を感じました。

昼食をはさみ午後は伝法昌広先生による特別講演に移りました。伝法先生のお話を聞く機会は初めてでしたが、SJCDの土屋先生のクリニックで矯正治療を担当されていただけあって、その理論やテクニックはとてもハイレベルに感じました。今回は「Gummy smile correction」と題し、ガミースマイルに焦点を当てていただき、その原因による分類、上顎前歯の三次元的な診断、治療目標の設定、計画の立案について講義をしていただき、実際のケースも提示していただきました。最後に提示していただいた土屋先生とのケースは、綿密な診断に基づき治療がなされており、細かい個々の歯の捻転も改善されたのち、最小限の範囲での歯牙の切削で最大限の審美性が達成されていました。

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コーヒーブレイクをはさみ会員発表に移りました。野寺先生、佐藤先生により「包括的に咬合再構成したⅡ級ハイアングルケース」と題し発表されました。本ケースは治療途中にTerra小屋にて症例相談されたもので、治療期間5年余りを経てファイナルを迎え今回発表する機会を得たとのことでした。野寺先生の説明ではⅡ級ハイアングルケースは矯正治療の中でも最も難しい部類のひとつであるとありましたが、治療方針一つとっても会場の矯正医と意見が真っ二つに割れたのが印象的でした。特に咬合高径を巡って大臼歯の圧下の是非が一番盛り上がりました。現状の咬合高径を高いとし積極的に圧化した上で治療を進めるのか、既存の高径を尊重しその中で治療をすすめていくのか、その答えは症例に向き合い長期的な経過を観察することでヒントがみえてくるのではないかと感じました。

今回の例会ではコルチコトミーやTADsの併用など治療期間を短縮し、より良いゴールを迎えるためのオプションを多数拝見することができました。しかしやはり一番大切なのはベーシックデータに基づく診査・診断・治療計画であり、症例の長期経過を追うことが日々の臨床につながってくることを改めて感じた例会になりました。

よしだ歯科クリニック勤務 小森 真樹(こもり まさき)

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DSC03823.JPG9月7日(日)、有楽町の東京国際フォーラムにて2014年度第2回赤坂会例会が行われました。今回のテーマは「The Treatment Planning Sessions」。あいにくの空模様でしたが全国から100名を超える方々が集まりました。

 




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会長である野寺先生の挨拶後、顧問である寺西先生より、今回のテーマであるトリートメントプランニングの概要についてご説明がありました。近年、世界の学会で多く採用されるに至った歴史的背景や診断は1つであるが治療方法は無数でありそれをディスカッションすることの重要性をお話しになりました。その後プログラムチェアマンである高田先生より演者の紹介がありセッションに移っていきました。今回は、Dr3名(矯正医を1人含む)、DT.1名、DH.1名というチーム編成で若手チーム、東北チーム、ベテランチームという3チームが担当医よりあらかじめ用意された基礎資料を基に治療計画を立案し、ディスカッションしていきました。

 

 DSC03831.JPGまず、トリートメントプランニングセッションにおける症例発表者の佐藤博宣先生より、基礎資料の提示があり、若手チーム(DR加部、DR小木曽、DR川崎、DT平野、DH鈴木)、東北チーム(DR藤野、DR工藤、DR水川、DT菅原、DH高橋)、ベテランチーム(DR中丸、DR高田、DR野寺、DT岩渕、DH伊藤)がそれぞれ診断や治療計画を発表されました。

 




 DSC03857.JPG今回のケースでは、アンテリアガイダンスをいかに獲得するかや、初診時にすでに不適切な位置に埋入されてしまっているインプラントへの対応、予後が不安視される歯牙へのアプローチ等、ポイントが多岐にわたりましたが、三者三様のアプローチがありそれゆえにディスカッションは尽きませんでした。会場からも矯正が必要か否かの疑問や、補綴設計についても多くの質問がなされ、発表者の方々もご自身の考えの経緯を説明しながら熱い議論が繰り広げられました。また補綴物の形態や清掃性をめぐってはテクニシャンやハイジニストの方からも意見が寄せられました。

 

 







DSC03826.JPG3チームの発表後は、佐藤先生が実際なさった治療方針や最終補綴物までの流れを時系列に沿って発表されました。前述の3チームがそれぞれ理想と思われるプランニングを出された後の発表は大変やりづらかったと思いますが、フルマウスリコンストラクションを丁寧に仕上げており、大変勉強になりました。その後歯周外科や小矯正についてディスカッションとなり、熱を帯びたまま午前のトリートメントプランニングセッションが終了しました。会場の多数決により東北チームの発表がアワードとなり、後の懇親会で表彰となりました。

 

 DSC03883.JPG昼食をはさみ午後は会員発表に移りました。テーマは"ラボコミニュケーション"。トップバッターはよしだ歯科クリニック勤務の小森正樹先生とetu-pirika Dental Art開業の平野直樹さんで「欠損に対しインプラントを用い、上下臼歯部をクラウンブリッジにより修復した症例」と題し発表されました。初期治療の段階から診断用Wax upやプロビジョナルレストレーション作成時にラボコニミュケーションをはかり進められていました。実際のwax upにより補綴範囲の拡大がなされており、緊密な咬合を必要とする臼歯部補綴の際には必要なステップであると改めて感じました。また、初期治療によって炎症のコントロールがきちんとなされている点も印象的でした。

 

 DSC03835.JPG続いて、エド日本橋歯科勤務の吉田雄太先生とファインデンタルアート開業の小林正直さんが「遊離端欠損に対して咬合再構成を行った症例」と題し発表されました。咬合再構成においてラボコミニュケーションは必須であり、プロビジョナル作製時にいかに口腔内の情報をラボサイドに伝えるかやプロビジョナルで得られた情報をいかに最終補綴物に反映していくかという点が肝要であり、大変参考となるケースでした。特に前歯部の形態に焦点があてられており、ご自身の反省等もふまえた発表でした。

 

 DSC03839.JPG最後に、寺西歯科勤務の三宅甲太郎先生と同じく寺西歯科勤務の石毛秀和さんによる、「欠損補綴にR.P.D.とImplantを用いた1症例」と題し発表されました。トリートメントデンチャーやファイナルのR.P.D.作製時写真も多くみられ、大変勉強になりました。お互いにリジットなR.P.D.の経験が浅いとのことで、1つ1つの過程での苦慮した点など率直に発表されており、今後の参考にさせて頂きたいと思いました。発表後のディスカッションでは会場からレストシートの光沢具合やプラーク付着状態によって推測出来ることのご教授があり改めて臨床の奥深さを知ることが出来ました。

 

 DSC03847.JPG今回の例会ではトリートメントプランニングや会員発表を通じ、診査データの見方や診断へつなげるプロセスを事細かに学ぶことが出来、明日からの臨床に生きる大変有意義な例会であったと感じました。

                                  根間 大地


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2014年5月11日に2014年度第1回赤坂会例会が国際フォーラムにて開催されました。

今回は「あの症例の予後を知る~赤坂会アワード症例のその後~」というテーマで発表が行われました。

まず最初に会員発表に先立って、顧問である寺西先生の基調講演からスタートしました。重度歯周病患者を的確な審査診断と緻密な手技で治療した術後30年近い歯周補綴のケースをご紹介いただき、会場からは感嘆の声があがりました。 炎症と力のコントロールがとても重要だということを思い知らされると同時に、患者のライフステージを考慮したオーダーメイドの治療の重要さについて再確認させられるすばらしい講演でした。

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会員発表ひとケース目は友貞宗人先生による「上顎にオーバーデンチャー、下顎にインプラントを用いて咬合再構成した症例」という演題でした。 以前から赤坂会で相談しながら進めていったケースなようで、当時のディスカッションの内容なども交えながら前歯部をコーピングにすることの是非や金属床にするべきかどうが、力への対応など様々なテーマでディスカッションがされました。


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2ケース目は野寺義典先生による「補綴処置を伴ったハイアングル成人矯正症例の行くすえ」という演題でした。 矯正後の保定について、矯正治療での臼歯のポジションについてなど様々なディスカッションが行われ大変盛り上がりました。 またこのケースで補綴治療を担当されている藤田大樹先生から前歯の補綴治療を伴う矯正治療での注意点などの示唆もあり大変勉強になりました。

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昼休みを挟んで午後は藤田大樹先生の「上顎R.P.D. 下顎インプラントにて機能回復を行った、12年経過症例」という演題からスタートしました。 的確な設計とラボコミニュケーションにより作られたR.P.Dの予後のすばらしさに驚かされました。サッカー日本代表岡田元監督の言葉を引用した「勝負の神様は細部にやどる」という言葉が大変印象的でした。

4ケース目は吉田拓志先生による「上顎総義歯、下顎にインプラント及びクラウンブリッジによる咬合再構成」という演題でした。 上顎をシンプルな義歯で仕上げて、下顎をリジットなインプラントでとてもきれいに仕上げられていて経過も良好なため大変参考になりました。 治療のKeyとなる下顎前歯のとりあつかいについてのディスカッションが興味深かったです。

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最後のケースは飯沼先生による「上顎両側中間歯欠損に対して両側性R.P.Dを用いて歯列弓の保全を試みた症例」という演題でした。 設計も手技も完璧に思われるようなケースがこのように崩壊してしまうのを目の当たりにして大変驚いたのと同時に、治療に絶対はないのだということと、何か起こった時に適切な手技で適切なタイミングでリカバリーすることの重要性を感じとても勉強になりました。

今回の例会でみたケースはどれも赤坂会でならった通りのコンセプトで行われていて、それが10年以上も予後もあり結果も出ているすばらしいケースでした。 赤坂会のコンセプトの素晴らしさを再確認でき、一歩ずつコンベンショナルな手技を積み重ねることでどのケースも長期経過を得ることができるのだということがわかりとても励みになる例会になりました。

エド日本橋歯科 吉田 雄太

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2014年2月2日(日)東京国際フォーラムにて2013年度赤坂会第2回例会が行われました。寒風吹き荒ぶなか日本各地から多くの方々に来ていただきました。
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顧問の寺西邦彦先生、野寺義典赤坂会会長のご挨拶のあと今例会のクラブチェアマン藤田大樹先生より会趣旨説明が行われ始まりました。
基調講演として青島徹児先生と中川雅裕先生にご公演頂きました。お二人とも日本歯科界を牽引しておられます。会場は両先生のご公演に熱い視線が注がれました。



IMG_1227.jpg青島先生より始まりました。演題は「当医院の治療の流れ~CrownBridgeを中心に~」
ダイレクトボンディングでご高名な先生ですが、その青島先生の包括的治療のケースプレゼンテーションで期待が集まりました。会場を唸らせたのは深い形成にも関わらず完璧な歯肉の立ち上がりを前歯部のみならず全顎にわたって行われているということ。先生のご経験と手技に裏打ちされたケースで素晴らしかったです。個人的には診査診断についてもっとディスカッション出来たらと思いました。




IMG_1247.JPG続いて中川雅裕先生のご公演。
演題は「TheCrown&Bridge~欠損補綴の治療オプションを再考する~」
5Dでも知られている中川先生です。
エビデンスに裏打ちされた術式、スキル、全体的な治療の進め方など、どれをとっても第一級の本当に素晴らしいケースプレゼンテーションでした。特に歯肉のマネージメントの素晴らしさは圧巻で、術前の診査診断から歯肉の切開線、スーチャーに至るまで先生のペリオに対する造詣の深さと熱意が感じられるものでした。
続いて会員発表です。



IMG_1253.JPGトップバッターは加部晶也先生。赤坂会若手のホープです。
「動揺する上顎前歯部に対しクロスアーチスプリントで対応した症例」
加部先生らしい緻密でエビデンスに基づいたケースプレゼンテーションでした。しかし、改めて補綴物の連結することの診査診断の難しさを感じさせられました。補綴物は出来るだけ単冠で仕上げたいと私自身思いますが、臨床の場ではなかなか思うようにはいかいないことも多いです。プロビジジョナルレストレーションで試行錯誤されていた加部先生のご苦労がひしひしと感じられました。



IMG_1258.JPG続いて、樋口敬洋先生
「中等度歯周病患者に対して、クラウン形態で試行錯誤した症例」
民間アスリートとデンティストという二足のワラジを履かれた樋口先生のケースプレゼンテーションです。パラファンクションを有する患者さんに対し、矯正治療を絡めたケースでした。パラファンクションの対応は、私も日々臨床の場で頭を悩ませておりますが、樋口先生もご苦労されながらケースをファイナルまでもっていかれました。片顎のみの矯正となっておりましたが、ここにも臨床の場での先生のご苦労が垣間見えました。プロテクションスプリントについて寺西先生からアドバイスがありました。私自身にとっても明日からの臨床に役立てれそうです。しっかりとした診査診断をされており、ご自身も自らのケースを省みて次の臨床に生かされていこうとする姿勢があり、赤坂会としてとても素晴らしいケースプレゼンテーションであったと思いました。


IMG_1288.JPG最後は、中丸潤先生
「上顎にクロスアーチスプリンティングを行なった一症例」
インプラントのロストは我々にとっても勿論避けたいことですが、臨床の場で残念ですが起きてしまうこともあります。今回の中丸先生のケースでは強いパラファンクションからいかにインプラントを守るか、深く考えさせられるケースでした。サイナスフロアエレベーテーションをする場合、ソケットリフト、サイナスリフトの選択そしてインプラント周囲には骨折を起こさせない骨の厚みの確保の必要性など大変勉強させて頂きました。

今回は欠損補綴に対してクラウンブリッジを改めて見直すことができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。
赤坂会としては、臨床で思わしくない結果になってしまっても、その失敗を次の臨床にどう活かすか、そのための反省点、改善点をどう考えているのかが大きく問われます。
私自身今回の例会で自らの臨床を見つめ直すいい機会であったと思います。

DSC02989.JPG9月8日(日)、有楽町の東京国際フォーラムにて2013年度第2回赤坂会例会が行われました。
今回のテーマは「日常臨床におけるハイジニストの役割」
あいにくの空模様でしたが全国から約90名集まりました。

会長である野寺先生の挨拶後、プログラムチェアマンである山口幸子さんから会の趣旨説明、特に日常臨床においての歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士のコミュニケーションを重視する会のスタンスについてお話がありました。
DSC03000.JPGその後、鈴木朋湖さんより「日常臨床における歯科衛生士の役割」という演題で基調講演が行われました。
鈴木さんは長らく東大阪本多歯科医院で勤務され、その後フリーでご活躍されている衛生士さんでいらっしゃいます。その豊富な経験から、講演内容は診査診断や各治療のステップ、インスツルメント、歯牙や骨、歯肉の解剖学的特徴やアプローチの難易度等々多岐に渡るものでありました。特に治療後の状態をいかに継続させるかという"守る"ステージの大切さを終始強調されており、患者がいかに清掃しやすいかを常に考えているという言葉に熱が込められていました。昼食をはさみ午後も引き続き鈴木さんの講演が行われ、インプラントに対する洗口剤やフッ化物の応用等各論にも触れられ、私自身初めて聞く話も多く大変勉強になりました。その後質疑応答では会場の衛生士さんから日常臨床で困っているケースでの清掃用具の相談等がなされ、どの質問にも鈴木さん自身の経験をふまえ1つ1つに丁寧にお答えになっている姿が印象的でした。

DSC03005.JPG続いて会員発表が行われました。今回は3名の衛生士さんが発表されました。
トップバッターはエド歯科医院勤務の瀬端亜梨紗さんで「歯科衛生士の役割」という演題で発表されました。本ケースは上下前歯部に唇側傾斜と全顎的に水平的骨吸収があり、患者のモチベーションとプラークコントロールが治療後の経過を左右するとのことでした。初期治療時や歯周外科後のインスツルメントの変更や部分的に苦労されたことなど時系列に沿って大変わかりやすく発表されていました。またメインテナンス時のモチベーションの維持が難しいとのことで今後の課題として挙げていました。発表後の質疑応答では会場から舌の大きさや舌癖についての指摘があり、そのような癖や解剖学的特徴に気づくことも衛生士だからこそ出来ることの一つであるとのお話で締められていました。
DSC03016.JPG次に、田中歯科医院勤務の下川喜美枝さんが「医療面接の重要性を改めて認識した一症例」と題し発表されました。本ケースは他院にて全顎的な治療が行われたケースであり、メインテナンス時の患者さんとのコミュニケーションを通して種々の問題を検討し改善していったとのことでした。まず他院での治療とのことで前医との連携の点での苦労や、術者が当然と思い説明を細かくしない点でも患者さんは勘違いをしていたり、必要なことではないと自己判断してしまうことも多く、臨床においての会話の中で察知し細かく修正を繰り返さなくてはならないということを強調されていました。
DSC03019.JPGまた清掃器具の種類や順番等も前医との相違が少なからずあり、会話を通じて少しずつすり合わせていってとのことで苦労がうかがえました。発表後の質疑応答では顧問の寺西先生より、R.P.D.やスプリントなどの患者自身の意図で装着しなくて済んでしまうものほど行き違いが出てしまうため、術者がわかりやすく説明し、なおかつ強調していかなければ患者には伝わらない、との旨をご自身の経験やたとえ話を用いてまとめられ、最後の発表に移りました。

DSC03031.JPG最後は内田歯科医院勤務の鈴木温子さんが「咬合性外傷を伴う広汎型慢性歯周炎患者に対する包括的治療の1症例」と題し発表されました。エンド・ぺリオや歯周外科、矯正も絡む複雑なケースでしたが、初期治療からファイナルに至るまで時系列に沿って丁寧にまとめられていました。初期治療から再評価を経て歯周外科に移行する際、オペのアシストを行うことでご自身の取り除けなかった歯石を確認することが出来良い経験になったとのことで、解剖学的制約がある中でどのようなインスツルメントを用いればより良く縁下歯石が除去できるかなど、会場からも多く意見が寄せられていました。発表後のディスカッションでは今後起こりうることに対するアドバイスやエンド・ぺリオの診断についての質問、また再生療法を伴う歯周外科と矯正のタイミング、残存歯の予知性についての白熱した議論がなされ、熱を帯びたまま会は盛況に終わりました。
DSC03045.JPG今回、4名の講演、発表を通して、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士との密な連携が口腔内の健康維持に必要不可欠であると再認識すると同時に皆さんの臨床に向かう真摯な姿から、明日からの臨床へのモチベーションを高められる大変有意義な会だったと感じました。


根間 大地